STEP1 型の製作

原型からルアーシリコーンで型を取ります。
ここでは、基本的な成型用2面分離型の製作方法を図解で解説します。
この型の製作法は、プラグ以外にも、スピナーベイトヘッド、ワーム、グリップベース等、色々な パーツの製作に応用がききますので、参考にしてください。

準備するもの

ライガ ルアーシリコン2001
硬化剤(シリコンとセット)

離型剤
カップ(プラスティックのもの)
割ばし(混ぜる棒)
計量機
(できればデジタルGOOD。なければ、1000円ぐらいのクッキングメーターで十分OK。)

ブロック(おもちゃ)
油粘土
彫刻等

(画像、上中央から時計回り )
赤色の材料は等HPで販売してます。材料の購入は↓をクリック!!

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@原型(マスター)にパーティングラインを設定する Hシリコーンの調合
A粘土の下準備 Iシリコンをいんしょうする。(重要)
B枠と原型のレイアウトを確認する。 Jシリコン型から粘度ベースを取り除く(重要
C原型の配置 K離型剤を塗布する。
D原型のエッジ出し L再度外枠を構築する。
Eアイ周りの処理 Mシリコン型の分割
F枠の配置 N注入口、エアー抜きの穴を設置する。

Gシリコーンの準備

O完成


@原型(マスター)にパーティングラインを設定する

ここでは、オリジナルのリアル系ペンシルベイトを原型(マスター)にシリコ−ン型の製作法を解説します。

まず、型製作の原型となるマスターを用意し、原型にパーティングライン(中心線)を設定します。

パーティングラインとは、合わせ目の意味なのですが、ここではマスターの中心に沿って描かれた中心線を指します。

この中心線は、2面型のシリコンを正確に製作する時の目印となりますので、必ず正確にボディの中心(縦方向)に油性マジック等で描いてください。
(写真参照)

アドバイス:パーティングラインは、
原型のどこで型をあわせるかを決めるラインのことで、型をどの位置で分割するかを判りやすくする為に引くラインです。高度な2面以上の型製作では複雑なラインを設定することもありますが、ここでは基本的な2面型の製作なので、中心から2分割でラインを引きました。


A粘土の下準備

 

さて次は、原型を埋め込むベースとなる粘土の準備です。

「型取り用粘土」を用意し、柔らかくなるまでよく練り上げます。

練りあがったら、空気を追い出しながら1個の塊を作り、のし棒等でで平らにしていき原型を埋め込む土台を作ります。

重要:粘土は、原型を埋め込む深さの2倍以上の厚さが最低必要です。厚さを一定にするために両端に同じ高さに板をかさねて目標の厚さと同じ高さを作り、(板の厚さが2.5cm必要であれば2,5cmの板を配置すると言うことです。)その板の上面をガイドにのし棒を転がせば間単に均一の厚みの板(ベース)を作ることができます。


B枠と原型のレイアウトを確認する。

スターターキットにセットされた「ブロック」を用意します。

このブロックを組み合わせて、シリコーンを流し込むための型枠を作っていきます。

枠の内側のスペースが最終的なシリコーン型の大きさとなりますので、なるべくゆとりを持った大きさに枠を設定してください。(写真下参照)

枠が完成したら、実際の粘土ベースの上に枠と原型を仮で配置し、位置関係を確認します。

原型の配置は、エアー抜きの穴や、注入口の位置を踏まえて決定しますので、その部分を考えて仮位置を決定してください。

備考:シリコーンはプラスチックブロックにはくっつかないのでブロックは何度も使いまわし可能です。


(写真→注入口エアー抜き穴の理想的なお手本です。)


C原型の配置


配置が決まったら、型枠をはずし、原型の配置位置に爪楊枝等を使いアウトラインをけがきます。

アウトラインを描いたら、アウトラインの内側の粘土を彫刻刀などを使って取り除きます。

けがいたところに切出刀で切り込みをいれ丸刀などを使って原型の半分を抜き取ります。
そして、抜き取った部分に原型を埋め込みます。


この時、必ず@で引いたパーティングラインの深さを基準に埋め込むようにします。


D原型のエッジ出し

粘土ベースに型を埋め込んだら、次に原型のまわりの粘土を押さえながら軽く盛り上げパーティングラインが少し隠れるぐらいの位置まで盛りあげます。

そして「つまよう枝」等を使ってパーティングラインに沿って盛った粘土を直角に削り取っていきましょう。


この作業で粘土と原型が隙間なく癒着し、パーキングラインと同じ位置に正確に埋め込むことができ、しかも真っ直ぐのきれいなエッジを作ることができます。

アドバイス:
粘土のデコボコや粘土と原型の密着の甘さ等は、そのまま型の出来上がりに影響しますし、しいては製品の出来上がりに反映してきます。良い製品を製作するためには、良いシリコーン型の製作不可欠であり、この作業はその意味で重要なパートです。慎重に、納得のいくまで何度でもやり直すくらいの気持ちで行いましょう。


Eアイ周りの処理

エッジ出しが完了したら、次にアイの周りを処理します。

(原型に付いたルアーのアイは、キャスト注入時に中芯を支える部分になりますので、重要です。)

アイは粘土に完全に埋めずに軽く接地する位に位置にしておきます。
そして、アイの中はの粘土は、少し凹ませる位にしておいてください。
(こうする事でアイ位置が型にくっきりと転写され、中芯をシリコーンにセッティングする時に固定しやすくなります。)

最後にアイの周りの粘土表面をできるかぎり滑らかにならしてベースへの配置完了です。

写真を参考にしてください。
写真のマスターは、写真でわかりやすくするために金色に着色したものを使っています。

 


F枠の配置


プラスチックブロックで作った型枠を位置を決定した後、粘土ベースに軽く押し付けて枠をセッティングします。(この後流し込むシリコーンが隙間から流れ出ないように隙間なく配置してください。)

セッティングが終わりましたら、次に型を正確に合わせるためのガイド用の凸凹を製作します。

注入口とエアー抜きの配置場所を避けた位置に、ペンの後等棒状の物を押し付け深さ5mmぐらいのディンプルを数箇所作っていきます。

(後にこのディンプルが、2つのシリコーン型を正確な位置で合わせるためのガイド(凸凹)となります。)

これで原型の配置完了です。


Gシリコーンの準備

型製作の準備が整ったら、次はいよいよシリコーンを流し込んでいきましょう。

シリコーン缶を500円玉やマイナスドライバーなどと使いあけます。
ふたが開いたら、中身のシリコーンをへら等で十分すぎるくらい混ぜ合わせます。

(シリコーンは比重の大きい成分が沈んで2層になりやすいため、使う前によく掻き混ぜることが大切です。)

十分に混ぜ合わせたら、必要量のシリコーンを容器に移します。

必要量のシリコーンがわからないときは、はじめに少なめに量り硬化剤を入れて1度型枠に流し込み、その量を見て足りない分を算出し、再度調合すると無駄を省けます。


 


Hシリコーンの調合

シリコーンを用意したら、硬化剤を混ぜ調合します。

硬化剤はシリコーン100gに対し、20滴を入れ攪拌してください。
(当社のシリコンは安定した素材なので硬化剤の多少の間違っても問題なく硬化します。)

硬化剤の赤い色が白いシリコーンに均一になじみ、薄いピンク色になれば調合完了です。


Iシリコンをいんしょうする。(重要)

さて、シリコンが調合できたらいよいよ型に流し込みます。

型に流し込むときは、まず筆を使いシリコンを薄く、均一に原型の上に塗布します。(原型の上に2〜3mmの厚みで塗るのが目安)
これは、型完成後に型の表面の精度を上げるための作業で、「いんしょう」といいます。

原型の表面を軽くシリコーンが覆ったら、筆を用いて細かい凸凹に残っている気泡をとるように塗りこむのがコツで、最後に1分ほど放置すると現型の表面に残った小さな気泡も取ることができます。

十分に原型にシリコンを「いんしょう」し、馴染ませた事を確認したら、残りのシリコンをゆっくり流し込みます。
この時、シリコンを流し込む量は、原型(粘土からの露出部分)の2、5倍以上の厚さ(深さ)になる量が目安です。

備考:
シリコン型に適度な厚さが無いと、均一な製品を製作する事に弊害が出ることがありますので、ある程度の厚みは必要だと認識してください。


Jシリコン型から粘度ベースを取り除く
(重要)

12時間後、硬化完了したシリコン型から粘土を外します。

粘土を大まかに取り除いたら、細部にこびりついた粘土カスをクリーニングします。

原型に付いた油粘土やシリコーンのバリは、慎重に、且つ丁寧に取り除いて下さい。

隙間から入って薄皮のようになっているシリコーンは彫刻刀などで慎重に切り取りましょう。

パーティングラインについている油粘土は爪楊枝などで除去すると簡単です。

この型表面のクリーニングは、精度の高い型製作の為に不可欠な作業ですので、確実に油粘土、シリコ−ンのバリは除去してください。


K離型剤を塗布する。

離型剤は平筆で伸ばしながらムラの無いようにシリコーン全面に均一に薄く塗布します。
当社の離型剤は、ムラがわかり易いように薄いオレンジ色に設定されています。色の濃さが均一になるように塗布することでムラを防止できます。

又、粘性変化の関係で数分放置することで、塗布された薬剤の凸凹面がなじみやすくなっていますので、塗布完了後数分間放置してから次の作業に移るようにすると、より確実です。


備考:
離型剤が厚いと型表面の精度が落ちますので注意が必要です。

シリコーンに唯一接着するのはシリコーンだけ。シリコーンは、離型性の良い物質ですから、基本的に原型の上には塗布の必要はありません。シリコンの上だけに均一に塗布すればOKなのですが、原型と前に作った硬化したシリコ−ンの隙間にムラが残りやすく、また原型の上に離型剤の境目を厚く残すと、その段がシリコン型に薄く刻み込まれるようなトラブルが出る場合がありますので、エッジ部分の処理には細心の注意が必要です。
慣れない方は、ごく薄く原型の上にも塗布すると良いでしょう。その方法でも問題なくシリコン型は製作できますよ。

ちなみに、この工程以外・・例えば「完成後のキャスト注入時」などでは、離型剤は必要ありません。この工程のみに必要な薬剤だと認識してください。


L再度外枠を構築する。

離型剤の塗布が完了したら、次に再度ブロックを組み、外枠を作っていきます。

今回は、今まで粘度があった側にに積み上げてください。

枠が完成したら、再度シリコーンを調合し、筆でいんしよう後、同じようにシリコンを流し込みます。
そして12時間硬化を待ちます。


Mシリコン型の分割

12時間経ち、完全硬化したら、枠を外し、シリコン型を取り出します。

ブロックを崩し、中のシリコン型を取り出したら、まず外側のバリをきれいに取り除きます。

そして慎重に真ん中から2つに割ってください。
離型剤の面できれいに2分割できるはずです。
型には、ディンプルが設置されその部分がかみ込んでいますので、その部分を破損しないように慎重に分割してください。


N注入口、エアー抜きの穴を設置する。

シリコーン2面型のいよいよ最後の工程です。

下記のアドバイスを参考に、注入口とエアー抜きの位置を決定します。

決定したら、油性マジックで位置をシリコーンに書き込みます。書き込んだら、一度シリコンを合わせましょう。こうする事で書き込んでない方のシリコン型にも同じ位置に転写できます。

転写したことを確認して、2面共に型に注入口と、エアー抜きの穴を彫刻等を使い掘り込みます。

アドバイス:

注入口、エアー抜きの穴の位置は、製品の均一な製作に大きく影響する重要な部分です。
位置は、写真を参考に決定してください。
位置決めの考え方(左の写真を参考にしてください。)
@注入口は、上から注ぎ込み型の下から入るようにしましょう。注入口は漏斗状することで製品の均一性が向上します。又、キャストが発泡する関係で注入口から流れ出すため、ガイド目的の溝を作っておくとよいでしょう。

Aエア−抜きは、型の一番上に基本的に設置します。複雑な型の場合は空気がたまりやすい場所毎に複数設置します。

一度、キャストで成型してみるとエアーが溜まる場所か空気だまりとなって製品に穴ができますので、その位置を確認してエアー抜き位置を増やすと効率よく設置できます。

両方の注入口とエヤ抜きが合うようにマジックで書き込み方を合わすと写るので合わせやすくなります。


O完成

以上で、シリコーン2面型の完成です。

この製作法を応用することでより複雑な原型に対応するための三面型等も製作可能なので、チヤレンジしてください。

 ©H.MIYOSHI2002
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