応用編 メタルJIGの製作

鋳造用耐熱シリコンを使いメタルジグを製作します。
ここでは、鉛鋳造でのメタルジグ製作を図解で解説します。

 

 


準備するもの

●溶解用容器
=今回は、鍋&コンロを使用
●メタルJIG耐熱シリコン型
=(←写真の耐熱シリコンを使い製作します。)

●中芯
(ワイヤーの製作を参考に製作してください)
●鉛
●サンドペーパー &ヤスリ


注意: 低融点合金(鉛など)の取り扱いについて

●低融点合金は、健康に有害な物質を融合してます。溶解時に発生する蒸気を吸いこまないように作業中はマスクを着用し、取り扱いには十分注意してください。

●作業中は、高温になりますので、保護メガネ、保護手袋、前掛け等を着用し、火傷に注意して作業を行なってください。

鋳造に関する注意事項!!

●鋳造は、高温の鉛を使い成形する作業です。
作業時は、皮手袋、ゴーグル等を装着し、火傷その他の事故に十分注意し個人の責任で行なってください。

鋳造で特に注意を要する事
●水蒸気爆発
鋳造する型の内部に水分があると鋳造時の熱で型内で気化膨張し爆発を起こします。
溶けた鉛が型から噴出したいへん危険ですので注意をしてください。

 

製作メニュー
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STEP1耐熱シリコンで型を製作する
 
大量生産目的や、ソルト用メタルJIG等の大量の鉛使用する場合の鋳造型の製作には、より耐熱性能に優れた「耐熱シリコン」を使用します。

原型(マスター)を削り出し、それを元に鋳造型を製作します。
型の作り方については、シリコン型の製作は、基本編の型の製作を参考に行ってください。

補足:鋳造目的の型製作での注意点
●必ず、注ぎ口は、最上部。エアー抜きの穴は最後部に配置します。
=鉛の型は、注ぎ口とエアー抜き穴の配置が悪いとうまく成型できない事があります。注ぎ口(鉛を注入する口)は、最上部。エアーー抜き穴は、鉛が流れ込む範囲の最後部(ワームキーパーの後ろ側)に配置するとスムーズに鉛が流れこみ精度の高い成型が可能です。

●鉛の鋳造用型は、エアー抜きの穴を注ぎ口と同じ方向に必ず開けます。
=溶解した鉛は、粘度が低いためエアー抜きの穴を注ぎ口(上方)に開けてないとその穴から固まる前に流れ出てしまいます。

ワンポイントアドバイス
耐熱シリコンは、通常のシリコン2001に比べ若干粘度が高くなっています。型を作るときは、泡の入らないように注意してください。

おまけ:耐熱シリコンの特性について
耐熱シリコンは、 通常のシリコン2001に比べ耐久性と耐熱性を高めてある点が特徴です。
鋳造するマスター(原型)の体積が大きいメタルJIG等の鋳造や、1個の型からより多くの製品を作ることに優れています。

型の製作

オリジナルのマスター型を削り出します。
マスター型は、樹脂や、木材を使って製作し、表面の目止め(コーテイング)を行ない精度の高いものを製作する事が大切です。

今回は、来画メタルのマスターモデル(スターターキットの付属のマスター)を使い型を製作します。
備考
セットに付属しているマスターは、白色です。写真のマスター型は見やすいように茶色に着色してあります。

@ 型のベースとなる”枠作り”と下準備

まず、型を作るための枠を作ります。
枠は、木枠、プラバン等いろいろな物で代用できますが、ここでは最も簡単で確実に作れる「ブロック」を使って枠を作りましょう。

 型のベースとなるルアー(来画メタル)が余裕を持って入る大きさに、ブロックを組み合わせて外枠を作ります。
高さは、余裕を持って設定してください。
ちなみに基本は ブロック3個分です。

外枠ができたらその中に「油粘土」を敷き詰めます。
この油粘土は、外枠の高さの約半分の高さに敷き詰めるのがコツです。
(この場合は、ブロック1.5個の高さ)
以上で、枠作りと型取りの下準備は終了。

A ルアーの型取り

(1)写真の位置、方向を参考に、ルアー(原型)を油粘土に半分の位置まで埋め込みます。

注意!!
このとき原型を埋めこみすぎたり、逆に浅かったりすると、正確な2面割型ができなくなりますから、注意してください。

コツ!!
原型を埋めこむときは、枠に対して平行ではなく、写真のように斜めに傾けて埋めこんでください。
こうすることで、樹脂を注入したときに樹脂がなじみやすい性能のよい型となります。

(2)型の埋めこみが完了したら、原型の周囲に型合わせの凹凸を作るため、穴をあけます。(写真参照)
この穴は六角レンチを使うと上手く行きます。

B ルアーシリコンに凝固剤をまぜる。

ルアーシリコンは、使用する前になるべく泡が立たないようによくかきまぜてから使います。

 まず、使う分だけ(片面分)カップに取ります。
通常、10cmほどの原型の型であれば、100gから200gが目安です。

 次に凝固剤を入れます。
凝固剤の比率は、 ルアーシリコン100gに対して約20滴。
参考
このシリコンは、高性能のため若干の分量違いは問題無く固まります。

 ルアーシリコンと凝固剤をなるべく泡が立たないように十分攪拌してシリコーンの調合完了です。


C シリコンをハケ塗りし、その後シリコンを流し込む

先ほど調合したシリコンを筆を使い原型の表面全面に丁寧に塗ります。
均一にハケ塗りが完了したら、3分ほどそのまま放置し(細かなエアーを抜く為です。)、その後シリコンを静かに流しこみます。

コツ!!
こうすることで、細かな部分に空気だまりや泡が入るのが防げ、細かなデイティールまで完璧な型取りが可能となります。


D 脱型してバリを取り、離型剤を撒布する。

硬化完了まで12時間以上待ち、硬化を確認したらブロックを崩し、油粘土を除去すると、2面割型の片面が完成です。
 完全に油粘土を取り除き、次に片面にできたバリを 彫刻刀などで取り除きます。

その後、
硬化した片面のシリコン型の周りに再度、枠をセットし、流し込むシリコンが接着しないように離型剤をむらなく薄く塗布します。

コツ!!
原型は、シリコン側から簡単にはずれます。一度外して、原型とシリコンの接地部分にできた薄皮のようなバリは、丁寧に彫刻刀で削り落としましょう。その後、再度シリコン側に戻し、作業続行となります。

E 2面割型の残りの片面を作る。離型剤を塗布原型をセットしたものに、B、C、Dの作業を繰り返します。

その後、再度12時間待ち、完全硬化さます。

型を慎重に割り、注入口と空気抜き穴を彫刻刀で掘り込み、2分割マスター型の完成です。

 

STEP2 メタルジグの鋳造

F シリコン型に表面処理剤を塗る

鉛の鋳造を行なう型の下準備として、「表面処理剤」を薄く塗りこみます。
表面処理剤は粉末状。筆を使い薄くまんべんなく塗りこんでください。

補足: この表面処理剤は、鋳造時の鉛の表面を滑らかにし、シリコン型のダメージをやわらげる効果があります。

G 中芯を製作し、その後、型にセットし金締具で固定する

ヒートン等を使い、ステンレス線を加工し、中芯を製作します。

その後、製作した中芯をシリコン型にセットし、金締具を使い型を固定します。

重要!! 注意
型をセットする時に、型の内部が濡れていないかどうかを必ず確認してください。
型の中に水分が残っていると鋳造時に水蒸気爆発を起こし危険です。
型の内部は、確実にドライな状態である事を確認して型をセットしてください。

H 鉛を溶解する 

次に鉛(ハンダ)を、溶解します。
適当な鍋に鉛を入れ、コンロ等で熱し、溶かします。
鉛が溶けると表面にアクのような不純物が浮きあがります。

備考:この不純物は、除去して使用してください。

I 鋳造

いよいよメタルJIGを鋳込んでみましょう。

溶解した鉛を金締具で固定した型に慎重に流しこみます。

流し込んだら、完全に冷えるまで静かに冷やします。

注意
@鋳造は高温で行なう作業の為、火傷その他の事故に中分注意して行なってください。
A型の内部が濡れていると、型内部で水蒸気爆発が起こり、大変危険です。必ず乾いた型である事を確認して流しこんでください。

J JIGを型から取りだし、バリを取り完成

 
鉛が十分に冷えている事を確認し、金締具を取り外し型からメタルJIGを取り出します。

最後に、成形時にできたバリをヤスリ等で削り落とし、塗装〜コーテイングをして完成です。

 

 

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